臆病者

俺なんかは、今日まで死のうと思っても死ねなかった臆病ものだ。


歳が19から20になるくらいに、バタバタと立て続けに友人の訃報が相次いだのだけれど、最近はトンと無くなった。あっていいものではもちろん無いが。


不幸な事故で、という話もあれば自殺で自ら命を絶った友人もいた。事故と聞いているが本当は自殺で、という話が多かった。


そのうちの1人は、悲恋の末、心が潰れて死を選んだらしい。


恋愛の形とは多種多様あるものだから、何も言うまい。というのが私のスタイルであるが、彼の死は「遊びで人の心を弄ぶというのは時として人を殺してしまう」と、私の脳にそんな事実を刻んだ。


生きていれば、悲劇は喜劇に変わることもあるけれど、死ぬというのはズルくて、特に当事者や近親者の心に消えない悪いものを、悲劇から変わらない事実として残してしまう。世界にも、上書きされることなくピタッと死という結果は残り続ける。


墓をなくせば、いつかは忘れるのだろうか。花も線香も一度しかあげたことのないけれど、彼の死を忘れられずにいる。

20を過ぎたら酒を飲もうと叩いた軽口も、酒のつまみにしたかった。


友人達が、母校の文化祭の話をする度に、あの時一緒に夏を過ごした彼とのやりとりを思い返す。



死にたくなるよ〜なるだけだけど〜



って一緒に歌ってたけど、本当に死んでしまう事ないのに。これだけつらつら書いておいて、本当は自殺ってのは噂だけでただの事故だから!と言うのなら化けて出てきてくれないかな。文句を言ってほしい。夢で会うと、いつも本当に生きてた気がして目が醒めるんだ。死ねない臆病者であってほしかった。



ps

他人の恋愛感関して、何も言うまいとか抜かしてるけど実際はめちゃくちゃ口出すタイプです